データ使用量が多くなったら、「高額な追加料金がないか」が心配。
カナダのインターネットプロバイダーの「実際に使っている感想」を知りたい。
カナダに「留学、ワーキングホリデー、観光、移住」で滞在する方にとって、インターネットは生活の必需品です。
日本国内との連絡、生活のための情報収集、オンライン学習など、多くの場面でインターネットは使われます。しかし、国が変われば、インターネット事情も変わります。そこで、「適切なプロバイダーやプラン」を選ぶためには事前の情報収集が必須です。
この記事では、カナダのインターネット環境について詳しく解説し、「長期滞在者」や「短期滞在者」に最適なプロバイダーやプランをご紹介します。さらに、インターネット料金を節約する方法、安全に利用するためのポイントについても触れていきます。
この記事のポイント
カナダのインターネットは大手3社(Rogers, Bell, Telus)と格安プロバイダー(TPIA)の2種類。
長期滞在(留学・ワーホリ)なら、料金の安い格安プロバイダーか、安定の大手との契約が基本。
短期滞在(旅行)なら、手軽なeSIMかプリペイドSIMがおすすめ。
技術方式は光ファイバー(Bell/Telus)とケーブル(Rogers)があり、特にアップロード速度に差が出ます。
この記事では、在住者(Rogers利用中)が、それぞれのメリット・デメリットと具体的な契約方法、節約術を解説します。
目指す姿
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カナダでじぶんに合ったプロバイダーを見つける。
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「無制限のデータプラン」で、追加料金を心配せずにインターネットを楽しめるようにする。
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インターネットプロバイダーへの申込で料金を安く済ませる。
結論 カナダのインターネット選びは「滞在期間」と「居住地」で決まる
カナダでのインターネット選びは、主に以下の2つのパターンに分かれます。
長期滞在(留学・ワーホリ・移住)のおすすめ
自宅のWi-Fi(固定回線)の契約が必須です。
選択肢は「大手プロバイダー」か「格安プロバイダー」の2択。この記事では、この「長期滞在」向けの契約をメインに詳しく解説します。
短期滞在(旅行・出張・短期留学)のおすすめ
手軽さが最優先です。
「eSIM」「プリペイドSIM」「レンタルWi-Fi」のいずれかが選択肢となります。固定回線の契約は不要です。
まずは知っておきたい カナダのインターネット事情
主要プロバイダーは大手3社(Rogers, Bell, Telus)
カナダの通信業界は、以下の3社による寡占状態が続いています。
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Rogers(旧Shawを含む)
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Bell
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Telus
これらの企業は自社で通信インフラ(回線網)を保有しており、カナダ全土(特に都市部)で高速かつ安定したサービスを提供しています。ただし、料金は高めに設定されています。
(※ Shawは2023年にRogersによって買収され、現在はRogersブランドに統合されつつあります)
注目すべき「格安プロバイダー(TPIA)」とは?
大手3社以外に、「格安プロバイダー」という選択肢があります。
これらはTPIA (Third Party Internet Access) と呼ばれ、自社で回線網を持たず、大手3社のインフラを借りてインターネットサービスを提供している会社です(日本の「格安SIM(MVNO)」のインターネット版と考えると分かりやすいです)。
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代表的な格安プロバイダー TekSavvy, Oxio, Distributel, VMedia など
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メリット 大手とほぼ同じ通信品質(回線は同じため)でありながら、月額料金が大幅に安い。
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デメリット カスタマーサポートが電話対応なし(チャットやメールのみ)の場合がある、開通までに時間がかかることがある、などサポート面で大手に劣る場合があります。
料金相場と近年の価格推移
カナダ政府(CRTC)のレポートによると、高速ブロードバンドの加入者数は年々増加しています。
カナダ統計局(Statistics Canada)が発表する月次消費者物価指数(CPI)レポートによると、カナダの「インターネットアクセスサービス」および「携帯電話サービス」の料金は、近年大幅な下落傾向にあります。競争促進の政策により、消費者にとっては契約しやすい環境が整いつつあります。
出典:Statistics Canada(カナダ統計局)「Consumer Price Index」
【重要】技術方式の違い 光ファイバー(FTTH) vs ケーブル(HFC)
契約する上で最も重要な技術的な違いです。Bell/Telusが使う技術と、Rogersが使う技術は全くの別物。これを道路に例えてみましょう。
光ファイバー (FTTH):「あなた専用の高速道路」
Bellの「Fibe」やTELUSの「PureFibre」がこのタイプです。
インターネットの大元からあなたの家まで、光ファイバーという最新技術の専用レーンが直接つながっているイメージです。
最大のメリットは、上りも下りも同じ速度が出る「対称(Symmetrical)」であること。
情報を送り出す(ビデオ会議、大容量ファイルのアップロード、ライブ配信)のも、受け取る(動画視聴)のと同じくらい速いです。在宅勤務やオンラインゲームなど、情報を「送り出す」場面が多い現代の使い方では、この「上りの速さ」が絶大な効果を発揮します。
ケーブル (HFC):「みんなで使う一般道」
Rogers(旧Shawを含む)がこのタイプです。
途中までは光ファイバーですが、ご近所一帯のエリアからは、昔ながらのテレビ線(同軸ケーブル)という一本の道をみんなで共有するイメージです。
ケーブル(HFC)の課題は主に2つです。
- 上りが極端に遅い「非対称(Asymmetrical)」であること家に向かう車線(ダウンロード)は速くても、家から出ていく車線(アップロード)は遅くなります。
- 混雑時に遅くなる可能性があることご近所さんと一本の道を共有しているため、みんなが一斉にインターネットを使い始める夜などのピークタイムには、速度が落ちる可能性があります。
どちらを選ぶべきか?
動画視聴(Netflix, YouTube)やウェブ閲覧がメインであれば、ケーブル(Rogers)でも全く問題ありません。(筆者もRogers利用)
しかし、高画質なビデオ会議、大容量ファイルの頻繁なアップロード、ライブ配信などを行う場合は、光ファイバー(Bell/Telus)を選ぶ方が快適です。
長期滞在者向け プロバイダー契約の完全ガイド
ステップ1 居住地で利用可能な会社を調べる
まず、あなたの住所(郵便番号)で、どのプロバイダーが利用可能かを確認します。各社のウェブサイトで簡単に検索できます。
注意! コンドミニアム(集合住宅)の”ロックイン”問題
カナダ(特に都市部)のコンドミニアムやアパートでは、建物全体が特定のプロバイダー(例 Bellのみ、Rogersのみ)と一括契約しており、住民がプロバイダーを自由に選べないケースが多々あります。
物件選びの際に「利用可能なインターネット会社はどこか」も確認しておくと良いでしょう。
ステップ2 大手 vs 格安プロバイダー 徹底比較
利用可能な会社が分かったら、どちらのタイプを選ぶかを決めます。
| 比較項目 | 大手 (Rogers, Bell, Telus) | 格安プロバイダー (TPIA) |
| 月額料金 | 高い | 安い |
| 通信品質 | 安定(特に光ファイバー) | ほぼ同等(回線は大手と同じ) |
| サポート | 充実(電話、チャット、店舗) | 限定的(チャットやメールのみの場合が多い) |
| 契約特典 | 割引プロモーションが多い | シンプルな料金設定 |
| こんな人におすすめ | 英語でのサポートに不安がある人、トラブル時に迅速な対応を求める人 | とにかく費用を抑えたい人、英語のチャットサポートで自己解決できる人 |
サポートのリアル(筆者の経験)
筆者が利用するRogersは、電話サポートが比較的繋がりやすく、問題解決もスムーズです。一方、格安プロバイダーの一般的な評判としては、「サポートはチャットのみで、返信に時間がかかる」といった声も聞かれます。英語での複雑なトラブルシューティングに不安がある場合は、大手を選ぶ方が安心かもしれません。
ステップ3 プラン(速度)の選び方(利用シーン別目安)
プロバイダーを決めたら、速度プランを選びます。基本的にデータ容量は無制限(UNLIMITED)プランが主流です。
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~100 Mbps 単身、動画視聴(HD画質)、SNS、ウェブ閲覧がメイン
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~500 Mbps 2人以上、4K動画視聴、オンラインゲーム、在宅勤務
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1 Gbps (1000 Mbps) 以上 家族、複数デバイスで同時接続、大容量ファイルの日常的な送受信
(参考)Amazonプライムやネットフリックスを4Kの高画質でみる場合に必要な推奨速度は「25 Mbps」程度です。
ステップ4 契約とモデム設置の具体的な流れと初期費用
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オンラインで申込み プランと希望の開通日を選択。
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初期費用の確認 多くの会社で「開通手数料(Activation Fee)」がかかります($50~$100程度)。プロモーションで無料になることもあります。
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モデムの受取 モデム(ルーター)は「レンタル(月額$10~)」か「購入」を選びます。格安プロバイダーでは「BYOD (Bring Your Own Device)」として、対応モデムを自分で中古購入して費用を抑える方法もあります。
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開通作業 「技術者の訪問設置」または「セルフインストール(自分で接続)」を選びます。セルフインストールの方が簡単な場合が多いです。
ステップ5 契約時の注意点
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契約期間(縛り) 割引を受けるために「2年契約」が基本の場合がありますが、「契約縛りなし(Month-to-Month)」プランも必ず確認しましょう。途中解約には高額な手数料が発生することがあります。
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引っ越し(Moving)の手続き 引っ越し先が同じプロバイダーのサービスエリア内であれば、移転手続き(手数料がかかる場合あり)が可能です。エリア外の場合は解約・新規契約となるため、注意が必要です。
筆者の実体験 Rogers 1.5Gbpsプラン使用レポート
参考までに、筆者が現在利用中のRogers(旧Shaw)のプランと実測値を紹介します。
現在利用中のプラン
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プロバイダー Rogers
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プラン Ignite Internet 1.5 Gigabit(ケーブルタイプ)
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公称速度 下り 1.5 Gbps / 上り 50 Mbps (非対称)
インターネット速度計測 結果(平日 18時頃計測)
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ダウンロード(下り) 749 Mbps
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アップロード(上り) 107 Mbps
もちろん、ダウンロードスピードは公称値の「1.5Gbps」には及びません。これは最適な条件下での理論値であり、どのプロバイダーでも実測値はこれより低くなります。
使ってみた感想
これだけの速度(特に下り800Mbps以上)が出ているため、YouTubeやネットフリックスの4K視聴は全く問題なく、非常に快適です。
ただし、前述の通り「ケーブル(HFC)」方式のため、アップロードは50Mbps程度です。ビデオ会議は問題ありませんが、大容量の動画ファイルをクラウドにアップロードする際は、光ファイバーに比べて時間がかかります。
短期滞在者向け 最適なインターネット接続方法
数週間から数ヶ月の旅行や短期留学の場合、固定回線の契約は現実的ではありません。以下の方法がおすすめです。
おすすめは「eSIM」
現在、最も手軽かつ安価な選択肢です。
eSIM対応のスマートフォンであれば、日本にいるうちにオンラインでカナダ用のデータプランを購入・設定できます。カナダ到着と同時にインターネットが利用可能になり、物理SIMの交換も不要です。
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代表的なeSIMサービス Airalo, Holafly など
プリペイドSIM
カナダの空港や街中の携帯ショップ(Bell, Rogers, Telusなど)で、旅行者向けのプリペイドSIMを購入する方法です。eSIM非対応の機種を使っている場合に適しています。
ただし、設定の手間や、eSIMに比べると料金が割高になる場合があります。
(参考:TELUSのプリペイドSIMデータプラン例)
| データ量 | 料金 (CAD) | 有効期限 |
| :— | :— | :— |
| 500 MB | $30 | 30日 |
| 2.5 GB | $40 | 30日 |
| 8 GB | $55 | 30日 |
※料金は一例です。最新情報は公式サイトで必ず確認してください。
レンタルWi-Fi
日本で事前にWi-Fiルーターをレンタルし、カナダに持参する方法です。
設定が簡単で、複数のデバイス(PC、スマホ)を同時に接続できるメリットがあります。
ただし、料金はeSIMやプリペイドSIMと比較して非常に高額になる傾向があり、ルーターを持ち歩く手間と充電の管理が必要です。
インターネット料金を安くする節約術
プロモーション(ブラックフライデーなど)を狙う
カナダでもブラックフライデー(11月)は、インターネットの新規申し込みに最適な時期です。大手各社が魅力的な料金プランや、設置費用の免除キャンペーンを打ち出します。
セット契約(バンドル)を活用する
インターネットと携帯電話を同じ会社(例 Rogers, Bell, Telus)で契約すると、「バンドル割引」が適用され、月額料金が安くなることがあります。
紹介プログラムを利用する
多くのプロバイダーが「友達紹介(Refer-a-Friend)」プログラムを提供しています。
新たにRogersを利用したい方は、「お問合せ」よりご連絡ください。50ドル分のクレジットを受け取るための紹介者リンクをお送りさせていただきます。(現金でもらえるわけではありません)
お問い合わせより、「Rogers紹介リンク希望」と書いてお送りください。
まとめ
カナダのインターネット契約は、あなたの滞在スタイルに合わせて選ぶことが重要です。
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長期滞在(留学・ワーホリ)
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コスト重視なら「格安プロバイダー(TPIA)」
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サポートと安定重視なら「大手プロバイダー(Rogers, Bell, Telus)」
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契約前に「技術方式(光 vs ケーブル)」と「契約期間(縛り)」を必ず確認しましょう。
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短期滞在(旅行)
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手軽さとコストのバランスが最も良い「eSIM」が第一推奨です。
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この記事が、あなたのカナダでの快適なインターネットライフの助けになれば幸いです。
よくある質問 (FAQ)
Q1: カナダのインターネット契約に必要なものは何ですか?
A1: 一般的に、パスポートなどの身分証明書、住所証明(賃貸契約書など)、支払い用のカナダのクレジットカードまたは銀行口座情報が必要です。プロバイダーによってはSINナンバーの提示を求められることもあります。
Q2: 留学やワーホリで契約する場合、「契約縛り(期間拘束)」はありますか?
A2: 多くのプロバイダーで「契約縛りなし(Month-to-Month)」プランが提供されていますが、割引が適用される「1年契約」や「2年契約」もあります。縛りありのプランを途中解約すると解約金がかかるため、滞在期間に合わせて選ぶことが重要です。格安プロバイダーは縛りなしプランが主流です。
Q3: カナダのインターネットはデータ無制限(Unlimited)が普通ですか?
A3: はい、現在ほとんどの家庭用インターネットプランはデータ無制限(Unlimited)が標準です。一部の格安プランやモバイル通信ではデータ上限がある場合もありますが、自宅のWi-Fiであれば基本的に使い放題と考えて問題ありません。
Q4: 注文してから開通までどれくらいかかりますか?
A4: プロバイダーや建物の状況によります。技術者の訪問設置が必要な場合は1週間から2週間程度かかることもあります。セルフインストール(自分でモデムを接続)が可能な場合は、モデムが届けばすぐに利用開始できることもあります。早めの申し込みをおすすめします。
Q5: インターネット契約を解約する際の注意点は何ですか?
A5: 契約期間(縛り)を確認し、解約手数料が発生しないかチェックしてください。また、レンタルしていたモデムやルーターは、指定された方法(郵送や店舗持込)で期限内に返却する必要があります。返却しないと追加料金が発生するため注意しましょう。



























