- 結論: カナダにもハリケーン(台風)は到来。
頻度: 日本より少ないものの、一度発生すれば甚大な被害をもたらす可能性。
危険地域: 主に大西洋に面した東海岸(ノバスコシア州など)。ピークシーズンは9月〜10月。
西海岸: 太平洋側(バンクーバーなど)への直撃は稀。ただし冬季の「パイナップル・エクスプレス(大気の川)」による暴風雨に注意。
最新事例: 2022年の「ハリケーン・フィオナ」が、東海岸に観測史上最大級の被害。
記事の執筆者:かなだんBLOG 運営者
カナダ在住(5年)。本記事では、カナダの気象情報や過去の災害事例に基づき、在住者および旅行者向けに「カナダのハリケーン」のリスクと対策について、実体験も交えて解説します。
カナダのハリケーン:結論と基本知識
カナダにもハリケーンは来る(ただし頻度は低い)
結論から言うと、カナダにもハリケーン(台風)は来ます。
ただし、日本に比べるとカナダに上陸・接近する回数は格段に少ないです。そのため、日本のように「台風で電車やバスが頻繁に止まる」「台風のため一斉休校になる」といった事態は稀です。
その反面、まれに上陸するハリケーンは甚大な被害をもたらすことがあり、特にカナダ東海岸(大西洋側)では注意が必要です。
【関連記事】
【最新版】カナダのユニクロ完全ガイド!店舗情報・サイズ比較・価格・オンライン購入からお得な裏技まで徹底解説
なぜカナダでは「台風」ではなく「ハリケーン」と呼ぶのか?
この記事ではじめに「台風」と表現しましたが、厳密にはカナダで発生・接近する熱帯低気圧は「ハリケーン」と呼ばれます。
「台風」「ハリケーン」「サイクロン」は、すべて同じ「熱帯低気圧」ですが、発生する海域によって呼び名が変わります。
| 名称 | 発生海域 |
| 台風 (Typhoon) | 北西太平洋、南シナ海 |
| ハリケーン (Hurricane) | 北大西洋、カリブ海、北東太平洋 |
| サイクロン (Cyclone) | 北インド洋、ベンガル湾、南太平洋など |
カナダに影響を及ぼすのは、主に北大西洋で発生する「ハリケーン」です。
【重要】カナダ観測史上最大級「ハリケーン・フィオナ(2022年)」の教訓
カナダにおけるハリケーンの危険性を最も強く示したのが、2022年9月にカナダ東海岸を直撃した「ハリケーン・フィオナ(Fiona)」です。
カナダ東海岸を襲った甚大な被害
フィオナは、ノバスコシア州、プリンスエドワード島(PEI)、ニューファンドランド・ラブラドール州などに上陸し、カナダの観測史上最も気圧が低い(=勢力が強い)暴風雨として記録されました。
このハリケーンにより、高潮、沿岸部の家屋倒壊、広範囲にわたる停電、インフラの破壊など、甚大な被害が発生しました。
なぜ「温帯低気圧化」しても危険だったのか?
フィオナはカナダ上陸時、厳密には熱帯低気圧から「温帯低気圧」へと性質が変化(Post-Tropical)していました。
通常、ハリケーンは北上して海水温が低いカナダ近海に来ると勢力を弱めます。しかしフィオナは、温帯低気圧のエネルギーも取り込みながら強力な勢力を維持したまま上陸しました。
「温帯低気圧に変わった=弱まった」と誤解されがちですが、フィオナの事例は、カナダに到達する嵐が性質を変えてもなお、破壊的な暴風雨をもたらす危険性を明確に示しました。
地域別 カナダのハリケーンと暴風雨リスク
カナダは広大であり、地域によってハリケーンや暴風雨のリスクは全く異なります。
【最も注意】大西洋岸(ノバスコシア州、PEI州など)
カナダで最もハリケーンの影響を受けやすい地域です。
-
ハリケーン・シーズン 主に9月から10月にかけて。
-
過去の主な事例
-
ハリケーン・フアン (Juan) (2003年): ノバスコシア州ハリファックスを直撃し、大きな被害を出しました。
-
ハリケーン・ドリアン (Dorian) (2019年): ニューファンドランド・ラブラドール州を直撃し、強風と大雨をもたらしました。
-
ハリケーン・フィオナ (Fiona) (2022年): 上記の通り、カナダ史上最大級の被害。
-
太平洋岸(ブリティッシュ・コロンビア州)
バンクーバーやビクトリアがあるカナダ西海岸(太平洋側)へのハリケーンの直接上陸は極めて稀です。
ただし、太平洋岸には別の種類の暴風雨リスクが存在します。それは、冬季(主に11月〜1月)に発生する「パイナップル・エクスプレス(大気の川)」です。
これはハワイ(パイナップル)方面からの暖かく湿った空気が大量に流れ込む現象で、ハリケーンとは異なりますが、バンクーバー島やロウアーメインランドに大雨、洪水、強風をもたらすことがあります。(※元記事で言及された2018年のバンクーバー島の洪水も、この大気の川による影響と考えられます)
内陸部(トロント、モントリオールなど)
トロントやモントリオールなどの内陸部では、ハリケーンがその勢力を保ったまま到達することは、まずありません。
しかし、ハリケーンがアメリカ東海岸に上陸した後、その残骸(温帯低気圧)が内陸部に進み、豪雨や強風をもたらす可能性はあります(例:2012年のハリケーン・サンディ)。
旅行・在住者向け:ハリケーン接近時に取るべき行動と情報源
万が一、カナダ滞在中にハリケーンや大規模な暴風雨に遭遇した場合に備え、正確な情報源を知っておくことが重要です。
カナダ政府の公式警報をチェックする
「カナダ政府は…災害対策の情報を提供」とある通り、以下の公的機関が一次情報源となります。
-
カナダハリケーンセンター (Canadian Hurricane Centre): ハリケーンの進路や警報(Warning / Watch)を発表します。
-
カナダ公共安全省 (Public Safety Canada): 「GetPrepared.ca」という防災サイトを運営しており、ハリケーンを含む各種災害への備え(緊急キットの準備や避難方法)を紹介しています。
日本の公的情報(外務省「たびレジ」)
旅行者や短期留学生の方は、外務省(日本)の海外渡航・滞在者向け情報サービス「たびレジ」に必ず登録してください。
これにより、現地で大規模な災害(ハリケーン含む)が発生した場合、日本語で注意喚起メールや緊急情報を受け取ることができます。
航空便や交通機関への影響に注意
ハリケーンのシーズンには、航空便や交通機関が欠航・運休することがあります。
特に、元記事の体験談にもあるように、「(エア・カナダなどで)搭乗日前日に欠航が決定し、自動振替便では日程が成り立たない。しかしコールセンターには電話が何時間も繋がらない」という事態も起こり得ます。
ハリケーンが接近している時期の旅行は、旅程の遅延や変更を前提に、柔軟な計画を立てることが重要です。
【関連記事】
【最新】「カナダあるある」TOP10!傘をささない?“Sorry”連発?驚きのギャップを徹底解説
まとめ
カナダとハリケーン(台風)について、以下の点を覚えておきましょう。
-
カナダにもハリケーンは来るが、主な危険地域は東海岸(大西洋側)に集中する。
-
西海岸(太平洋側)へのハリケーン直撃は稀だが、冬季は「大気の川」による暴風雨に注意。
-
2022年「フィオナ」のように、甚大な被害をもたらす事例もあるため、特に9月〜10月に東海岸を訪れる際は、カナダ政府の気象情報や外務省「たびレジ」で最新情報を確認することが不可欠。
- 事前にカナダの台風情報をチェックして、カナダ移住を検討している方は、住む場所を決めてください。また、カナダ移住して後悔することがないようにしてください。
よくある質問(FAQ)









